=記章=
[The Beginning]
第4話・黒の4標

 

 マグデス王は、溜め息の理由をそうすり替え、…空を見上げる。
「そうですわね。お父様」
 本意を知るか知らぬか、…実は、気づいているだろうと、思わせる微笑みのクリスだったが、
「この空模様、この所、続いておりますものね…。城下の皆も、不安がっておりますわ」
 と、言葉を濁らせ、その澄んだ藍の眼を城下に向け、そして、軽く伏した。
「…、…。そうだな。何事と、なければよいのだがな…。」
 王は彼女にその返答した後、雲の合い間より紫電煙る様さえも臨めるその空模様に、…目を細め、…唇をクッと閉める。
 そう、一つ言いかけたその単語を、喉奥で収める為に、…。
 言ってしまえば、現実味を帯びてしまいそうであったから…。

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