=第一章=
[A Hit of Hunch]
第4話・黒の16標

 

 部屋の一角。
 そこは、使用人にも掃除を行わせない、…王にとって負の領域。
 なのに、王は、一歩、…一歩と、その場に歩み寄る。
 日の光も届かない、そこには大きな宝物をしまう頑強な木製の箱があった。
「出来うるならば、生きているうちに…もはや着る事はない、と…思うてたものを…」
 そう、一人語り、その取っ手にと手を置いた。
 引き上げられる箱の蓋。
 長らく、開かれる事のなかったそれは、重く、ただ重く、王の手に圧し掛かり、
 一部錆びついた部位が引き裂かれ、ギリギギィ…、と、音を立てる。

  そして、現れたのは、真っ白な鎧と、一振りの赤い鞘に収まるロングソードであった。


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