=第二章= |
クリスが別邸を出て、上空…、塔の屋上へと視線を向ける。 トゥアの身を思えば、…気が気ではないものの、アドベルの心配もよぎる。 彼が何者なのか、…けれど、信用できる人と、だけ、確信があった。 その彼を信じ、…クリスは面を下ろし、城にと向ける。 そこに、「王女!」と、ケルバーが走ってくる様が見える。 「何事だ!」「敵襲!敵襲です!!」「何!」 ケルバーの言葉に、驚愕めいた顔を見せつつ、落ち着いた気持ちでケルバーを見た。 彼の、アドベルの言葉は、本当であった。 「城門の守りを固めよ!また城下街の装置の起動、及び総員の配置は内城壁を中心に行え!民の動ける者は矢、魔力回復薬の手配と運用をさせよ」 「はっ!!」 クリスの対応をケルバーは敬礼で返し、城内に向けて走り出す。 それを見送り、…唇をぐっと結んで、どっしりとした足取りで歩き出した。 |