=第二章=
[Arrested Princess]
第16話・赤の39標

 

 クリスが別邸を出て、上空…、塔の屋上へと視線を向ける。
 トゥアの身を思えば、…気が気ではないものの、アドベルの心配もよぎる。
 彼が何者なのか、…けれど、信用できる人と、だけ、確信があった。
 その彼を信じ、…クリスは面を下ろし、城にと向ける。
 そこに、「王女!」と、ケルバーが走ってくる様が見える。
「何事だ!」「敵襲!敵襲です!!」「何!」
 ケルバーの言葉に、驚愕めいた顔を見せつつ、落ち着いた気持ちでケルバーを見た。
 彼の、アドベルの言葉は、本当であった。
「城門の守りを固めよ!また城下街の装置の起動、及び総員の配置は内城壁を中心に行え!民の動ける者は矢、魔力回復薬の手配と運用をさせよ」
「はっ!!」
 クリスの対応をケルバーは敬礼で返し、城内に向けて走り出す。
 それを見送り、…唇をぐっと結んで、どっしりとした足取りで歩き出した。

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