=第二章= |
「王女、明かりです」 「ありがとう、スティア」 月光だけでは心許ない周囲の明るさへ、スティアが明かりを灯した燭台を持ち、クリスの横に立つ。 長く感じた城下町での攻防戦。終了を迎えてから、久方ぶりに思える程の静かな夜…。 その、マグデス王という主無き書斎に、その二人の女性の影があった。 「王女、その…程度の目測は、ついているのでしょうか?」 「ええ、一応、…お父様は日々の記録を残すのを趣向としてましたから、たぶん、場所は分かります」 二人はそんな受け答えをしながら、マグデス王の直筆なる書で埋め尽くされた本棚に差し掛かる。… 「王女、かなりの量になりますが…、この中より、…その、探し出すのですか?ガイスト様の記録を…」 「…そうなりますね…」 ひとえに言うならば、マグデス王の日記の埋まる本棚である。 そこならば、以前のAGOTOWとの戦闘の記録、そして、AGOTOWを封印した勇者、ガイストの軌跡を記しているかもしれない。今、自分たちの知る知識の程は少ない今、マグデス王の日記は大きな力になるはずである。…しかし、 「多いですね…」 と、スティアは小さくぼやいてしまうほどである。 「全部を探す必要はないわ。几帳面なお父様だったもの、ちゃんと何かしらに分けてますでしょう」 |