=第三章= |
「…、勘…ですか…」アポロもまた、寝息を立てる頃、膝枕に眠るスティアをみつめながら、エディルが口を開いた。 「…本当に、勘…ですか?」 「…、…」 エディルの独り言めいた言葉に、アドベルは答えない…。 それでも、少しだけ、「そうですね…、そういう事にしていただけると助かります」と、だけ、返した。 エディルとは、スティアに並ぶほどにクリス王女の信頼する存在であり、クリス王女の姉のように、警護を担い続けたその人でもある。血も繋がらないが、幼き頃のクリスの手を引いて、護身としての剣の手ほどきを行っていた訳だが、…それが元で男勝りで、マグデス王の連れてくる婚約相手をなぎ倒していく事ばかりには、王に申し訳ないと、彼女は思うばかりではあった。 それでも、そんな信頼をおける人物を二人、アポロに仕わせた…この任務の重要性を思えば、アドベルの存在は、訝しげであるしかない。 「…事の顛末は、あなたのいう[全て]の後、分かるのでしょうね」 もう一言、エディルが呟くものの、…だが、アドベルは応えることをしなかったのだった…。 …、…。… ガクンっと揺れる馬車の衝撃で、アポロがすっと目を覚ました…。 |