=第四章=
[ADOBEL]
第14話・赤の99標

 

 アドベルが話し終わり、…しばらくの静寂の後、…アポロの目から涙があふれ、そして、零れ落ちた。
「…、僕は、生まれる前から、もう…こうなる事が決まっていたんだ…。ね」
 アドベルはうなずく。
「そして、兄さんは、その全てを知っていたんだね」
「僕と妹がAdobizar候補だったから、そう知らされた」
「…兄さん、一つだけ質問していい」
 アドベルはうなずく。
「最後のゲスト、僕が剣を突き立てるゲスト、…って、きっと、それは、ユーマさん、なんでしょう?」
 アポロの問いかけに、アドベルはうなずいた。
「いいの、兄さん。本当に、僕は兄さんの父さんを、殺しても…」
 追する質問にも、アドベルはうなずき、是正の言葉を返す。
「そうしてもらわなければ、全てを壊せない。ただ、全てを壊したとしても、もしかしたら、[人間]はそれを復旧するかもしれない。その間の平和かもしれない。でも、…きっとその間、アポロ、君は死ぬまで[自由]を手に入れる。君だけじゃない。クリス王女も、トゥア王女も、王国の皆も…[自由]を」
「そこに、兄さんは?」
「いない」
 二人の問答に、再び静寂が差し込まれる。

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