=終章=
[終焉との決別]
第1話・黒の48標

 

「アポロ殿、ここが北の看守塔…だった場所ですね」 
 馬車が小高い丘の上で止まる。
 塔と歌われているが、その影はなく、広がるのは積み崩れた岩石ばかりである。
「たぶん、最初の襲撃で潰されたのでしょう…。悔しいですね。私が任務を終えていれば…」
 スティアが口惜しそうに語り、…周囲を見渡した。
 よく見渡せば、岩石の間にミイラ状態の死骸がそこかしこに転がっていた。
「そして、あそこが、私たちの目指す…」
 苦い顔を見せるアポロに、エディルはその場所を指さした。
「[AGOTOW]の現れた洞窟です」
 指さす先に、アポロは視線を向ける。
 くぼんだ台地が見えた…。少し黒くくすんだ…瘴気的な空気が淀む中、その洞窟の口がぽっかりと開いていた。
「…、終わりにしましょう」
 指を下ろしたエディルがつぶやく。
 アポロも見据え、…小さくも力強くうなずく。

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