=終章=
[終焉との決別]
第12話・赤の117標

 

  戦いの無意味…。その本意を知った瞬間だった。
  あぁ、涙を流せたら、
  何かが切れたように、泣き崩れるだろう。
  そして、アポロにも泣き、請うただろう。
  英雄であってほしいと、押し付けた事を。
  浅はかであった自分が…情けなく、…情けなく…。

「時間です。スティア様…。行動を開始してください」
 歩き去る声の主が、開始の合図を送った。
 瞬間、スティアの体が動く。ただ、心だけは違った。…駄々をこねるように、泣いた。

  「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、…」
  剣にただただ使われているだけの空っぽなアポロに…
  そのアポロを救うためだけに、全てを敵にして、耐えて耐えて、死んでいくアドベルに…
 
 スティアは心だけを我が物に、…魔力を開放した。

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