=終章= |
戦いの無意味…。その本意を知った瞬間だった。 あぁ、涙を流せたら、 何かが切れたように、泣き崩れるだろう。 そして、アポロにも泣き、請うただろう。 英雄であってほしいと、押し付けた事を。 浅はかであった自分が…情けなく、…情けなく…。 「時間です。スティア様…。行動を開始してください」 歩き去る声の主が、開始の合図を送った。 瞬間、スティアの体が動く。ただ、心だけは違った。…駄々をこねるように、泣いた。 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、…」 剣にただただ使われているだけの空っぽなアポロに… そのアポロを救うためだけに、全てを敵にして、耐えて耐えて、死んでいくアドベルに… スティアは心だけを我が物に、…魔力を開放した。 |