=終章=
[終焉との決別]
第14話・黒の56標

 

  しかし、氷塊は融解する。

 男の指示で動き出さんとした氷塊の真ん中を一筋の閃光が通過する。
 刹那に感じる、それは…。
 氷塊を水蒸気にと爆散させた。
 その強烈な水蒸気爆発が男とアポロを襲う。
 上空の痛烈な爆風は、男の体を地面に縫い付け、アポロを吹き飛ばさんと荒れ狂う。
 が、アポロには届かなかった…。
 まるで、見えない壁でもそそり立っているようで、爆風は跳ね返り、地面にたたきつけられた男を今度は吹き飛ばした。
 先ほど、アポロがされた数倍の威力でもって、意趣返しされた男が、目にしたのは、磔にしていたはずの一人、スティアが降り立ち、その両手を二人にと突き出している姿であった。
 瞬時に状況を把握した男が跳ね上がり、腰元の突剣を再び、抜刀し跳躍する。
 その跳躍は、人の力ではない、男の残り魔力全てを使い切らんばかりの筋力変換。
 まさに、鷹の如き襲来で男の剣がアポロに飛来した。

次に進む/読むのを終了する