傷ついた北方を守る兵の通達より、半日か…。
同じく北方より軍勢が現れる。 腰布一枚と、手に手に小さな銅剣や棍棒を持つ、小柄な男群と
同じく腰布一枚と、大きな石をくくりつけた棍棒を持つ、大山のような男群。
その目は赤い光を放ち、小さい者は鋭い牙が並び、大きい者は石臼のように大きな歯が並ぶ。
肌は一律に、黄土褐色であり、耳障りな歯軋りと声を捲し上げながら、
行進に見えるようでも、統制感があまり感じられない
そんな軍勢が、現れる。
人は、その存在を一括りに[AGOTOW]と呼び、
小さい者を[Thig]と呼び、大きい者を[Violthi]と呼んでいた。
その多くの姿に兵士達は身構える様に、先頭を立つマグデス王が腰のロングソードを抜刀。
紫の長い刀身が微かに雲の隙間よりこぼれる日の光を吸い、光り輝く中、王は叫ぶ。
「我が兵よ、臆するな!奴らは烏合なり!!見掛け倒しよ!!」
そして、剣を天に掲げ、続ける。
「我らの神は、我らの勝利を確信しておられる、そう、確信しているのだ!!我らへやつらに屈するはずのない力を神は与えたもう。皆の者、剣を取れ!殺気を撒け!獣を追い払え!」
王の叫びに呼応するように兵士達は怒声を上げ、気を奮い立たせる中、ケルバー兵士長が全軍に「出陣!!」の号令を発した。
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