=第二章=
[Arrested Princess]
第30話・黒の31標

 

 何度目かの跳躍。しかし、その指示も、町に昇る煙も、そして喧騒も消えていった。

  そして、…アポロはこれが、最後の跳躍だと悟る。

 舞台は城下町中央の広場。
 普段であれば、行商人と町人に溢れ、交流ある賑わいを見せるものだが、その面影なく閑散、地面抉れる無残な有様が広がる、その広間に、大きく、ただ大きく聳える鉄鎧巨人がアポロを見下ろしていた。
 悠々と下げる人二人分の長さのロングソードに城門のごとき鉄盾。
 その深々と被った兜からは、赤き眼光だけが覗き、蟻のごときものでも見るように、アポロを見下ろしていた。


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