=閉幕= |
ー城壁が見える。 あれから、二日ほどの道のりを、エディルとスティアは馬車で戻った。 軽快ではない、鈍重な足並みで馬を進め、…ていたが、それでも、城壁が見えてきた。 手綱を持つエディルは、口元をかみしめる。…そして、弱く震える声を振り絞り、帆の中で疲れ崩れるスティアに声をかけた。 「もう少しで到着します…」 「…、…。…」 スティアは答えない。ただ、その言葉に身を縮め、頑なに拒むよう、…うずくまり…。 そう、そして、馬車が、城壁手前の橋の袂にかかると、城門が音を上げ、ゆっくりと開きだす。 帰還するのを、歓迎するように。 |