=第4章・第40部=
始まり

 

 ただ、美矢は「そういう事になるそうよ」と答えるのに、奈々美は首をくいっと曲げた。
「お兄様もそうだけど、私達は特に年とか気にしてる場合でなかったのよ。同じ場所にいる事も少ないし、争い事も多いし、毎日生き抜くだけでも、気が気じゃないようなものだったわ」
「…そうなんだ」
「だから、元気出しなさい。馬鹿呼ばわりするわよ」
 美矢の言葉に少しテンションを下げた奈々美の雰囲気に軽口を見せる美矢。
「あなたも言ったでしょう。昔は昔、今は今、ってね。ここに来るまでの事は昔よ。やってきた報いはあるけれど、それを引きずって生きていくな、って言ったのは、あなたでしょ。そのあなたが、人の過去引きずるとか頭おかしい真似やめなさい」

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