=第3章・第34部= |
「…。…分かっていた事だけど、悪い事をしたわ…」智恵美が、ポツリとそう呟く。 「ママ?」呟きに気づいた奈々美が、智恵美を見て、こう尋ねる。 「今、久美ちん押してるじゃない?」 攻勢に出た久美。その繰り出していく拳撃、脚撃は激しく、中には空中での三回転の中中上段蹴りと魅せる技さえ繰り出し、真吾はその防戦に明け暮れているように見えた。 「あなた、バカ?」その奈々美の一言に、美矢は溜め息交じりで小馬鹿にする。 「何よ!」「バカだから、バカと言ってるのよ」 美矢の一言は奈々美の眉を吊り上げさせるが、美矢は堪えた様子もなく、再度、奈々美を小馬鹿にする。 「…奈々美」また小馬鹿にされて、人声上げそうになる奈々美を、智恵美が遮る。 「真吾君は、久美の攻撃を全て、軽く受け止めているのよ…」 |