=第4章・第8部= |
「いや、助かるね。ありがとう」 ナウは安堵の表情を見せつつ、机の上に置いてある一つのケースを取り上げ、来訪者にと手渡した。 そして、来訪者がケースを開ける時に、「サングラスというものだ」と、ナウが説明する。 「通常は、強い日差しに目を守るための眼鏡なんだが、今回はその包帯変わりだな」 それから、軽く肩をすくめつつ、小さな吐息交じりにもう二言、三言と言葉をつなげた。 「その左半面の傷は、影響で治らないんだろ?なら、包帯するだけ無駄だし、包帯の替えも足がつくし、見た目も良いわけじゃない。特に、学園で生活するなら、そういった怪我の類のアピールってのは、賛否が分かれて注目されやすい。いっそ、サングラスで傷は化粧みたいにした方が受け入れやすいってもんだしな。後、そのサングラスには、ちょっとした検知器もつけてある」 ケースの中に入っていたのは、少し大ぶりなゴーグル状のサングラスで、確かに中央部上側にルビーのようなものが覗ける小さな箱状のものがついていた。 「何かしらの力の異常もこちらで察知できる仕組みだ。情報をもらえる事で、自分も対策案を講じれる訳だから、始終つけていてほしいね」 ナウの言葉に来訪者は頷き、さっそくそのサングラスを着用した。見た目の黒さに反して、掛けた瞬間、視界は色彩は鮮やかになり、一点の曇りもない綺麗な風景が目に飛び込んでくる。 サングラスで目元が覆われたものの、口元に驚きが見えたのだろう。ナウは「問題ないようだね」と、笑い…。 「さて、久美達を待たすのも悪いから、検診も切り上げて、そろそろでかけようか。真吾」 と、来訪者ー夏辺真吾に、ナウは言った。 |