=第4章・第11部=
始まり

 

「ところでさ」汽車に乗り込み、出発した後、乗った車両の中央部分にあるボックス席に座った五人の開口一番は久美で、通路向かいに座るナウに視線を送る。
「真吾君と美矢さんは分かるけどさ。ナウ…、なんであんたまで制服なのよ」
 ジーンズに赤いパーカーの久美が、溜息を吐く。が、ナウは平然としたもので、「俺はこれが普段着なの。普段着」としたせせら笑いを、席向かいのナウと同じ学生服の真吾と昨日の久美達の来ていたデザインのセーラー服の美矢に見せつける。
 ただ、そのせせら笑いに、真吾は愛想笑いを、美矢は流れる外の風景に視線を向けるばかりで、相手にもしていないようだった…。

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