=第4章・第34部= |
「…が、先程も言ったように、時空間の流れは凄まじい。一つの穴でも世界は崩壊するほどの力だ。たかが、人が作った技術でその流れを完全に遮ることはできるのか?という点があげられる。そして、その答えは、分の悪い五分五分かな?」 ナウは手元に来たコーヒーカップを取り上げ、一口すすり、言葉を続ける。 「これも、ファースト時代の調べだが、流れに負けて流されるのが50%、被害を出し到達できるのが40%、完全な無事で到達が10%」 それから、真吾の顔に顔を向けつつ、視線だけは前の3人の女性陣に向けて、 「そして、今回の真吾君達の移動は40%、被害を出し到達、だ。この真吾君の傷はそれで出来たものさ。もう彼の一生で治ることはないだろうね」 ナウの言葉に、奈々美が体を乗り出そうとしたが、「奈々美さん」と、真吾が押しとめる。 「あなたが気にする事ではありません。これで、…たったこれだけの事で、家族がみな無事だったのです。…僕たち家族皆が[なかった]事にならなかった…。むしろ、誇りに思うべき負傷ですよ」 |