=第十章・第九部=

=[超時空要塞MACROSS/ゴル・ボドルザー]=

 

 勝利の歓声に揺れる宇宙。…未だ、輝は激戦を制した空域を離れない。
 帰艦を告げて、数分が立つ。

 センサーを作動させ、微弱な電波をも探査する。
「くそ…」輝は軽く舌打ち、頭を上げた。
 反応のないセンサーが物語る事実は、生存の可能性が0という事。
「…違う、これじゃない」
 SOS信号を捕らえる事に専念したセンサーを切り、金属反応を捕らえるものに変えた。
 痕跡があれば、その周辺にいるかもしれない。
「死神が死んだら、世も末なんだろう…」
 前に、彼が語ったことを呟き、周囲をめぐらせ、反応を探査する。
「輝、どうしたの…」
 通信が開き、未沙の顔が映る。
「あ、え…いや…」輝はただ驚き、…未沙の前で戸惑いながらも頭を振る。
「戻るよ、すまない」
「………輝、すこし待って」未沙は輝を留まらせる。
「クローディア、あの空域の周辺を調査の協力、お願いできる?」
「未沙…」
「いいのよ、…彼を探しているんでしょう…輝は」
 未沙はただやさしく微笑んだ。
「…悲しい思いはもう、たくさんだもの…ね」

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