=記章= |
「トゥア様、よろしいですか?」アドベルは、姿からしてクリス王女の妹であろうと推測し、言葉を選ぶ。 「チロルは、旅鼠の一種でお風呂と言うのを嫌います」 「ええ〜、お風呂に入らないと汚いよ〜」 「いえいえ、ですから、チロルを湯浴みさせるのではなく、水浴びさせればよろしいのです」 アドベルの言葉にプ〜っと頬を膨らませたトゥアであったが、「水浴び?」という言葉に、頭を傾ける。 「ええ、…水浴びです」やっと、答えに辿り着かせたアドベルは胸を撫で下ろし、言葉を続けた。 「よろしければ、私めも御一緒に探させていただけますか?そして、一緒に水浴びをさせたいと思うのですけれど、よろしいでしょうか?」 「…、」アドベルの申し出に少しキョトンとした表情を見せた後、トゥアの顔に満面の笑みが浮かび、「うん」と、大きな返事が返ってきた。 |