=第一章=
[A Hit of Hunch]
第14話・赤の13標

 

 マグデス王は剣を構えなおす。
「そのような事、許すと思うか…」
 しかし、それでも男は笑い、すっと王の剣を指差した。
「ソレで私を殺そうというのでしょう?…」
 おかしいおかしい、とばかりに、男は笑い、両手を大の字に広げ、スタスタと王に歩み寄りながら、「どうぞ」と、挑発してみせる。
 男の不可思議な行動に一瞬躊躇がよぎるも、王は剣を腰だめから大きくなぎ払う。
 一閃。

  「お分かりですか、王?」

 しかし、男はケラケラと笑い、喜劇を楽しむかのような口ぶりで王に問いただす。
 その王もまた、何が起こったのか、分からずにいた。

  確かに、剣は男の胴を薙いだ。はずだ。いや、薙いだ!

 が、男の体は健在であり、まるで何もなかったかのようであった。
 だからといって、王は諦める事無く、第二の斬撃を繰り出す。

 男の左肩から右胴にかけて直線を引くように、両の手で握った剣を振るう。

  だが、男の体が何事もなかったのように、大きく両の手を開いたままである。

「だからいったでしょう?、ソレで、ガイストの剣で、私を殺そうというのでしょう?…と」


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