=第一章= |
アドベルは二人との間合いを一気に縮め、その大剣を大きく横薙いだ。 が、それはただ大きく空を切る。 そして、その場にいた二人は、姿形もなくなっていた。 「ふふふ、なんともせっかちな。予行演習にさせてほしいものよな」と、アドベルの頭上より太った男の声が響く。 「せめて、名乗り口上くらいさせていただいても罰は当たらないでしょうに」と、痩せた男の声も同じく響く。 二人は、アドベルの頭上高くに舞い上がり、空中で制止していた。 「我が名はイラブ」アドベルが見上げると、太った男はそう名乗り、両の手の平を上へ向ける。 「我が名はオラブ」クスクスと笑う痩せた男がそう名乗り、声を揃え、宣言した。 「我らは二人で一つであり、四天が一つ。火の化身なり」 そう名乗り口上を終えた瞬間、イラブの両の手に火炎弾が浮かぶ。 「我が火炎の前に、散るが良い!!」 |