=第一章=
[A Hit of Hunch]
第21話・赤の18標

 

 火炎弾が雨霰と降り注ぐ中、着弾点を正確に見極めるアドベルは、右に左にと跳ね回り、
 猛攻ともいえるそのイラブの攻撃をかわしていく。
「なかなかやるようですね」オラブはコロコロと笑うと、
「時間も惜しいのだが、なぁ〜」と、イラブは次々と手の平に火炎弾を生み出し、投げ下ろしていく。
「そうですね」オラブは、何かを気にするしぐさをしてみせ、「では、遊びもこれまでにしましょうか」と、
 オラブのみが急降下をする。
 降り注ぐ火炎弾の中、オラブが地上にと降り立つと、その両の腕より真っ赤な火炎を噴出させ、跳ね回るアドベルに照準を合わせる。
 そして、降り注ぐ火炎弾の中、ドンッと駆け入る。
 降り注ぐ火炎弾に食らおうと、その身は平然とし、アドベルに向かって直進し、燃え盛る腕を振り上げた。
 ギンッ!
 と、大きな火花を上げ、アドベルはその腕を大剣で薙ぎ上げ、さらに狙い打たれた火炎弾をバック宙で交わし、オラブの側面にと回りこむべく、横っ飛びをする。
 も、オラブは笑いながら、アドベルの後を追い、火炎弾を突き破って、その間をつめる。

  明らかに、アドベルの大剣は大きすぎ、振り回す速度に対して、
  オラブの燃え盛る拳は数多く、そして、イラブの火炎弾も尽きる事もなく降り注ぐ…。

 そう、もうアドベルが負けるのは、時間の問題だともいえた…。


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