=第一章=
[A Hit of Hunch]
第25話・赤の22標

 

 アドベルであった何かが、上空を見やり、大きく息を吸うようなしぐさをしてみせる。
「お兄様」その意図を知ったオラブが叫ぶ。
「避けて!!」
 オラブの叫びと共に、アドベルの長く伸びた口先がガバリと開き、巨大な魔印が鼻先に浮かぶ。
 そして、咆哮と共に、巨大な紫電球が発射され、イラブを射んと放たれた。
 巨大な魔印の影に一瞬硬直するも、イラブの叫びに、からくも紫電球を避けるイラブ。
 そして、紫電球は上空はるか高くに飛び去るが、厚く埋もれる雲の一部をも吹き飛ばし、円形の快晴を作り出す。
 アドベルだったものが、開いた口を閉じ、そして、視線をオラブにと移す。
 オラブはゆっくりと構え、その腕に再び炎を纏わせた。

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