=第一章= |
アドベルであった何かが、上空を見やり、大きく息を吸うようなしぐさをしてみせる。 「お兄様」その意図を知ったオラブが叫ぶ。 「避けて!!」 オラブの叫びと共に、アドベルの長く伸びた口先がガバリと開き、巨大な魔印が鼻先に浮かぶ。 そして、咆哮と共に、巨大な紫電球が発射され、イラブを射んと放たれた。 巨大な魔印の影に一瞬硬直するも、イラブの叫びに、からくも紫電球を避けるイラブ。 そして、紫電球は上空はるか高くに飛び去るが、厚く埋もれる雲の一部をも吹き飛ばし、円形の快晴を作り出す。 アドベルだったものが、開いた口を閉じ、そして、視線をオラブにと移す。 オラブはゆっくりと構え、その腕に再び炎を纏わせた。 |