=第一章=
[A Hit of Hunch]
第26話・赤の23標

 

 イラブはその異様なアドベルの行動に困惑する。
 アドベルの強さは、先程と比べるべくもないものだった。
 イラブの火炎球をものともせずに弾き返し、繰り出されるオラブの手刀もことごとく払いのけ、
 まるで弄ぶかのようにも思えた。

  おかしい。…おかしい。これは、おかしすぎる。

「オラブ!」イラブが叫ぶ。
 その言葉に、オラブは効くとも思えない硬い表皮のアドベルの腕を蹴り飛ばし、間合いを取ると
 イラブの傍にと、舞い上がる。
「お兄様…」息荒くオラブがイラブを見る。
「あれはなんだ…。あのような物がナゼ」
 謎はあるが、…だが、遠くを見やる。そう、その方角は城のほう。
  そろそろ、約束の時間だ。
 約束…?
「…まさか、」「ぎゃあああ!!」
 イラブが何かに気づきかけたその時、隣にいたオラブが悲鳴を上げる。


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