イラブはその異様なアドベルの行動に困惑する。 
         アドベルの強さは、先程と比べるべくもないものだった。 
         イラブの火炎球をものともせずに弾き返し、繰り出されるオラブの手刀もことごとく払いのけ、 
         まるで弄ぶかのようにも思えた。  おかしい。…おかしい。これは、おかしすぎる。 
        「オラブ!」イラブが叫ぶ。 
         その言葉に、オラブは効くとも思えない硬い表皮のアドベルの腕を蹴り飛ばし、間合いを取ると 
         イラブの傍にと、舞い上がる。 
        「お兄様…」息荒くオラブがイラブを見る。 
        「あれはなんだ…。あのような物がナゼ」 
         謎はあるが、…だが、遠くを見やる。そう、その方角は城のほう。 
          そろそろ、約束の時間だ。 
         約束…? 
        「…まさか、」「ぎゃあああ!!」 
         イラブが何かに気づきかけたその時、隣にいたオラブが悲鳴を上げる。 
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