=第一章=
[A Hit of Hunch]
第27話・赤の24標

 

 浅はかな物言いであろう。
 激変したアドベルが、その全てが、変わっているかもしれない等と、考えなかったのかと。

  隣にいたはずのオラブの喉元に、長く伸びたアドベルの口が突き刺さり、そして、閉じられた。

 そして、重力に任せ、落ちる二人。
 少しだけ首の肉が残っていたオラブだったが、地上に達した瞬間、プツリと切れて、
 頭と胴体とが別れ別れに転がっていた。

  アドベルが空を飛んだというよりも、跳んだのだろう。
 ただ、その飛距離は城にそびえる塔の中腹にもなる高さである。
  アドベルはその高さにまで跳ね飛び、二人の片割れを襲ったのだ。

 もはや、息もない顔と胴体を前に、アドベルはその胴の心臓めがけて、腕を振り下ろし、
 ジュブリと埋没させ、先程まで悠然と心拍していたであろう臓器をブズリと抜き取って、

   グチュリ…ブチュリ…ゴクリ…

 と、喉を潤した…。


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