=第二章= |
「王女、」その場を後にしようとする、クリス王女に立ち上がったアポロが声をかける。 「…、…ア、…アドベルは…」 その言葉は少ししどろもどろとしていたが、…クリス王女は振り返りもせず、アポロの言葉の意を知った。 「アドベルは、別邸…。重症者の区画で治療をしております…。今、優秀な医療魔術者が担当しております…」だからこそ、そう言い返し、踵を返した。 「アポロ…殿、ですから、あなたは先陣を守り、城を警護してください」 「…、…」 クリス王女の言葉に、アポロは深くお辞儀をした…。 「王女の采配、いたく感謝いたします…」 「…、いえ、…アドベルは、…トゥアの…、妹の警護兵の認を与えております…。妹の有事に万全でない警護兵など、…あってはなりませんからね」 「…、?アドベルが、…ですか。妹姫の警護兵…」 アポロの返答に「お知りでなかったのですか?」と、クリス王女は返す。 「ええ、…まったく」彼女の言葉に、アポロは小さく首を横に振って見せた…。 「アドベルは、自分の事はまるで、他人にと話すことは有りません…。一緒に育ってきた…私にも」 |