=第二章=
[Arrested Princess]
第3話・赤の26標

 

 重傷者を収容する別邸へ向かうクリスは、アポロの言い様に思いをめぐらせる。
「…、友ではないのか…。?…」
 そう、彼女は考えてしまう。…アドベルの事を…。
 アポロに問いかけた答えは、さらにアドベルの興味を持たせた。
 共に過ごしてきた者にも語らぬ何かを抱えている、そんな彼に…。
「雲への問い…」
 そして、その彼が投げかけた不思議な言葉。
「…、…。…!!」
 クリスは唇を結び、歩みを速める。
 その瞳には、凛とした輝きを持たせ、…そう、その瞳は、まさに

  マグデス王の持っていた、王国の牽引者としての威厳。

 その瞳でもって、クリス。いや、クリス王女は、アドベルのいる別邸室を目指し、足高く、歩を進めた。


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