=第二章=
[Arrested Princess]
第9話・赤の32標

 

「プ…レィヤ…、Player…?」
 クリスはアドベルの言葉を反芻し、問いただそうとするが、…アドベルが見つめ返す。
 そう、その見つめ返しに…クリスは言葉を失う…。
 そのおかしいとも思える、息詰まりと胸の高鳴りを感じつつ、…アドベルの言葉を待った。

  そして、アドベルが口を開けかけ、しかし、閉じて…視線を逸らし、…中空を見つめ、
  息静かに…、吐き出し…、視線を落とし…、

   そして、やっと、言葉を発した。

「王女、…あなたは、…素敵な人だ…。だからこそ、今…本当の事を話したくもあります」
 視線を逸らしたまま、…アドベルは言葉を続ける。
「でも、まだ…時期ではないのです。この時期に語っては、ダメなのです…」
 そこまで語ったアドベルに、クリスはようやく開ける事のできた唇でもって、「…アドベル、あなたは何を…知っているのですか…」と、再度、そう問いただす。…

「一つだけ、お約束ください。クリス王女」アドベルが落とした視線をただ寂しそうな光を湛えつつ、クリスに向けながら、言葉を続けた。
「これから起こること、決して、慌てず、王女としての責務、勤めてください…と」


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