=第二章=
[Arrested Princess]
第10話・赤の33標

 

 会話が成立していない、…そう感じざるを得ないのに、クリス王女は、ただただ、納得をした。
 何かあるのだ。…この戦いには何かあるのだ…。
 そして、それを知るのは、誰でもない、このアドベルなのだ…。
「生前の父王も気にしていた、雲の乱れ。その言葉から、私はあなたの言う、雲の問い、が気になった。そして、あなたは、私に答えたPlayer…」だからこそ、クリス王女は食いかかり、アドベルに語る。ただ、毅然として、この国の統べる者として、民を守る為に!
「あなたは、国を守る為にここへ来たのでしょう!アドベル!!だからこそ、質問に答えなさい!!」
 その荒げながらも、トゥアを驚かせないように押し込める言葉で持って、…再度、…再三、…断られても構わず三度、その心構えで持って、そう問うた。

  しかし、アドベルの反応は、なかった…。
   そして、ゆっくりと視線を向けられる…。
    すると…

   その今までの気構えが崩れていく…そんな衝動がクリス王女の心を襲った。

「王女」甘く、ただ甘い声色が、王女の耳を潤した。
「私はもう、疲れました…。お引取り願いたい」
 その言葉に、クリス王女は、どうしようもなく、…答えるしかない自分がいるのに、気づいていた。 


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