=第二章=
[Arrested Princess]
第19話・赤の40標

 

 光の収縮が始まり、北部見張塔の最上部にアドベルとスティアの姿が登場する。
「こちらでよろしいですか?」
 スティアがぼそりとした口調でアドベルに問いただすと、無言で彼は頷いた。
 そして、ゆっくりと抜刀をし、「…、いるのは分かっています」そう呟いた。
「まあ、そうでしょうねぇ」
 少し気の抜けた口調の…涼やかしい女性の声が二人の耳を包む。
 そして、周囲を少し竜巻状の風が埋め尽くし、その暴風に目を軽く閉ざした二人が目を開けると、

  そこに一人の女性が立っていた。

「ごきげんよう、ご招待を快諾してくださった事、嬉しく思いますわ」
 翠色のストレートヘアーを緩やかになびかせた…同じく翠色のレオタード状衣装を一枚だけ身にまとった半裸の女性が悠然と二人の目の前に立っていた。
「…」スティアが一瞬、口元を緩ませ、…たが、アドベルが肩を張らせ、止める。
「スティア様は、…この中の構造は把握していると思います。王女は、牢獄場所に幽閉されていると考えられます。まずは、王女の救出を優先としてください」


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