=第二章=
[Arrested Princess]
第20話・赤の41標

 

 突如、女の周りが発光したかと思えば、地面より強い光線が彼女を襲う。
 しかし、女はすぐさまに気づき、後方に飛び、その攻撃を回避した。
「なぜ、逃げる必要がある」その言葉を発したのは、右手を相手にかざしたスティアだった。
「あの女を殺せば、済むこと」
 そして、その右手の小指をクルンと丸めた。
 瞬間、女は感づいたようにさらに後方に飛び去ると、立っていた場所に業炎が舞った。
 そう、骨さえも蒸発させるような光線に、消し炭にするかのような炎を詠唱無く、放つスティアに、アドベルは一瞬、呆然とする。が、…「ダメです!」と、叫んだ。
「まずは、王女の救出を優先としてください。彼女が何かしらの魔力で王女に危害を加えるかもしれません!罠であれ、周辺に何かあれ!今の攻撃でも、危険を与えたやも知れません!」
「…。…、なるほど」
 スティアは思いもしなかったな…とばかりに、口元を曲げる。
 そして、「では、まかせます」と、今度は薬指を曲げた瞬間、

  強力な閃光が屋上舞台中央に生まれ、破裂する。


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