=第二章=
[Arrested Princess]
第21話・赤の42標

 

 アドベルを巻き込んだ閃光は彼自身の目を眩ませ、一時の身動きもとれずにいた。
 そして、視力が回復する頃、相手もまた、その目眩ましにやられていたようで、目元を振り、アドベルを見る。
「名乗り口上もさせずに攻撃とか、とんでもない奴ね…。これだから、Playerでない奴は、…」
 女はそう吐き捨て、残ったアドベルに睨みを利かせた。
「あなたも災難ねぇ。薄情な相手をもって、…確かにトゥアは準playerではあるから、確保の重要性を思えば、あの行動も考えうるものだけれども…」
 ふふ、っと笑う女性に、今度はアドベルが走り、その剣をブンっ!と振る。
 スティアの攻撃に比べれば、なんとも見え見えの有様であるが故、女は宙に浮き、はんっ!と息を吐く。
「物語を外れているとはいえ、名乗り口上くらいはさせていただきたいものね。それが魅せる演出でしょう」
 彼女の周辺を甲高い風切り音が舞う。
「我が名はウラブ。四天の一つであり、風の化身なり」
 そして、風切り音はアドベルへ向けて、強烈な烈風を見せる。
「我の旋風により切り刻まれてしまえ!」

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