=第二章=
[Arrested Princess]
第24話・赤の45標

 

 ドラゴンと化したアドベルがウラブの元へ突如跳ね、顎を上げる。
 ガキンっ!と渇いた両歯の合わさる音。
 空を切った彼は跳ねの反動で僅かに足を滑らしつつ、体を反転させると、宙にと逃げたウラブが右の手刀を繰り出す。
 手刀の軌跡に沿い、風の刃が放たれ、地面をえぐりながらアドベルに直進してきた。
 変化をする前のアドベルならば、横に避けていたが、今度のアドベルはその腕を突き出し、一つの魔法陣を展開し、それを防ぐ。
「さすがに、[ADoBaiza]ね。開放すれば、そうなるか」ウラブはほくそ笑み、さらに距離をとり、すばやく印を切る。
「では、これはどうかしらね!」
 そういや否や、彼女の体を中心に、水蒸気が当たりを包む。

  そう、ウラブの姿を隠した…。

「あなたがエラブの子であるのは、知っているわ。土の力を前に、この主よりつかわさった水の力。あなたはただ無力になるのよ」
 そのウラブの言葉と共に、視界の無いアドベルの体を風の刃が襲いかかってきた。


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