=第二章=
[Arrested Princess]
第41話・赤の54標

 

「クリス王女!」
 部屋を出た二人の女性、の内、スティアがドア閉まらぬうちに嘆願をする勢いでもって、クリスに強い口調をぶつける。しかし、クリスは落ち着いたもので、それに対応した。
「あなたの言いたい事は、分かっているわ…。私もやはり、納得はできない…」
 彼女の言葉に、クリスも同意はする。しかし、
「それでも、…私はすがるわ。彼の言葉に」
「なぜです!!」
「…、お父様と同じ言葉を発したから」
「マグデス王と、同じ事?をです」
「…雲の問い…」
「雲の問い?」
「分からないでしょう?私にも、分からないわ…。でも、…」
 ただ、それぞれに言葉を交わす二人だったが、ふっと言葉を切るクリス。
「考えても仕方のない事よ。きっと、私達には、及ばない事柄なのでしょう。だから、私達の出来る事をするだけです」
「…」
「すがり、あがきましょう。スティア」

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