=第三章= |
颯爽とばかりに駆け出した馬車であった。…が、 勇壮なる城が見えなく頃には、その歩みを緩め、かっぽかっぽと牧歌的な速度にまで落ちていた。 その馬二頭の手綱を握るアドベルが、「大丈夫ですか?」と、馬車内にと顔を向けた。 「え、…ええ」 そう息絶え絶えに答えたのは、スティアで、その白い顔をさらに蒼白に染め、馬車の壁に辛そうに横たわっていた。 「ス、スティア様、あ、あの、気分程度なものかと思われますが、不寝番用の気付け薬を所持しておりますが、お飲みになりますか?」 その状態に、心配そうに寄りそう女性兵、スティアに続き、クリス王女の信頼されるエディル。 そして、その3人を背に幌の後ろを警戒するアポロの姿があった。 |