=第三章= |
「申し訳ありません…」少し息絶え絶えにスティアが口を開く。 「こんな不貞を晒すつもりは…なかったのですが…」 出立時、早馬の馬車の揺れがよほどに応えたのだろう彼女の口ぶりに、馬車の後方の警戒に当たるアポロもまた、口を開いた。 「いえ、こちらも不慣れを気づかなかったんです。…もう少し、早く気づいていれば」 「でも、…急ぎも…」 「無理をなさらず、今は横になってお休みなられる方がいいですよ。…その不調も、日頃、日常的に多忙な事の疲れからだと思います。悪い言い方ではありますが、良い機会と考えて、今はゆっくりなさってください」 そのアポロの言葉に、エディルもまた、「そうですよ。スティア様」と口添えし、ちょっと強引な感じでスティアを膝枕してみせる。 「たまには、こういった休息も大切ですよ。今は、アポロ様にアドベルもいらっしゃいます。突然の襲撃にも、いくらでもやってみせます。ご安心して、しっかりとお休みください」 |