=第三章= [Oldie's Lost Trial] 第4話・赤の57標
「…嫌われちゃいましたね…」
その様子を背中で感じたアドベルは、唇を最小限に動かすだけの独り言をもらし、再び、視線を前に向け、一番背後に座るアポロに声を投げかける。 「アポロも、休んでおくといいよ。ここはまだ、襲ってくる気配は感じないよ。昨日の戦いは、きつかったんだろ?今はゆっくりと休んでおきな」 「えっ、でも、」 「私の勘、外れたことはあると思うかい?」 アドベルの提案に、アポロは少し戸惑いを持ったが、…最後の[勘]という事場に、口を閉口させた。 そして、「分かったよ…」と、腰を深く落とし、息を澄ませたのだった。