=第三章= |
カッポカッポ…と、進む馬車。 その状態は、激戦に激戦を重ねていた事が嘘のようなもので、…流れる青空と白い雲より覗く太陽の光を…。 アポロは眺めていた…。 「ところで、エディルさん」アドベルが一度、口を開く。 「オルトの場所まで、早馬でも1日では無理なのでしょう?」 少し、再び、ウトウトしていたアポロの耳にもそれが入り、その頭をもたげ、アドベルに視線を向ける。 「そうですね…」 エディルはアドベルの言葉に生返事を返し、未だすやすやと眠りつくスティアを見つめながら、言葉を続けた。 「確かに、1日1晩で行き着くのは難しいですね。それに夜間に走るのはもちろんですけど、…オルトの住居の周りは森林に囲まれていますので襲撃を考えると、森林帯は避けるべきでしょうね」 そして、一度、国土地図を広げ、…思案し、エディルはアドベルの方を向いた。 「少し道筋をそれる事となりますが、東よりに進路を取ってください。崖の海岸線が視認できるはずです。そこを寄り添う形で進めますと、普段は無人の灯台小屋がありますので、そこを中継といたしましょう…」 |