=第三章=
[Oldie's Lost Trial]
第8話・赤の59標

 

 カッポカッポ…と、進む馬車。
 その状態は、激戦に激戦を重ねていた事が嘘のようなもので、…流れる青空と白い雲より覗く太陽の光を…。
 アポロは眺めていた…。
「ところで、エディルさん」アドベルが一度、口を開く。
「オルトの場所まで、早馬でも1日では無理なのでしょう?」
 少し、再び、ウトウトしていたアポロの耳にもそれが入り、その頭をもたげ、アドベルに視線を向ける。
「そうですね…」
 エディルはアドベルの言葉に生返事を返し、未だすやすやと眠りつくスティアを見つめながら、言葉を続けた。
「確かに、1日1晩で行き着くのは難しいですね。それに夜間に走るのはもちろんですけど、…オルトの住居の周りは森林に囲まれていますので襲撃を考えると、森林帯は避けるべきでしょうね」
 そして、一度、国土地図を広げ、…思案し、エディルはアドベルの方を向いた。
「少し道筋をそれる事となりますが、東よりに進路を取ってください。崖の海岸線が視認できるはずです。そこを寄り添う形で進めますと、普段は無人の灯台小屋がありますので、そこを中継といたしましょう…」

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