=第三章=
[Oldie's Lost Trial]
第9話・赤の60標

 

 エディルの指示で、進路を東に切ると、…程なく、切り立った崖の続く海岸が見えてくる。
 そして、その崖に沿う形で馬車を進めると、徐々に崖は高くなっていくようで、海面が下がっていく。
 陽も揚揚と輝いていたのも、今では紅色にと変わり、…馬車は、一つの建物を見つけた。
 外面は長い風雨に晒されたためか、レンガ造りの壁は風化で所々ボロボロとしたものだが、未だしっかりとした佇まいの灯台が最頂の崖に佇んでおり、…その傍らには、習うようにボロボロの小屋が立っていた。
「昔は、国でも港町もありましたが、[AGOTW]の進軍でそれど頃ではなくなり、何時しか廃れてしまったもので…、お恥ずかしい限りです」
 エディルは、その灯台を見上げるアドベルへ、言葉をこぼした。
「…そうですね、もう、全て、終わらせたいですね」
 そのエディルの言葉に、アドベルは、小さく、…そう返したのだった。

次に進む/読むのを終了する