=第三章= |
スティアは目を覚ます。そして、自分の違和感に気づく。 確か、自分は馬車の中、エディルの膝枕で眠っていた。 それが、なぜか、決して良い素材ではないが、揺れる馬車床に比べるべくもない、麻生地のベッドの上だった。 「起きられましたか?スティア様」 少し戸惑いを覚えるそんなスティアの様子に、声をかける…、質素な椅子に腰を置いていたアポロが声をかける。 「アポロ殿、その…」 「ここは、オルトの住まい近くの灯台小屋です」 「灯台…小屋、…ぁあ、」 アポロの言葉に、スティアが軽い理解のうなずきを見せた。 「夜間に森林に進入するのは危ないと判断して、少々遠回りですが、ここで一晩を済ませます」 「そうですか…。その、…」 状況を理解したスティアがもう一言、…非礼…、を言いそうになったのを、「スティア様」と、アポロが言葉をさえぎった。 「お気にされずに、もしも、馬足を上げていても、結局は馬も疲れ、同じ結果になっていたでしょう。経路、人通りも少なくなっていた事もあって、道が少々悪くなっており、馬の疲労も大きかったようですので、結局は同じ経緯を辿ったでしょう」 「アポロ殿」 |