=第三章= |
「エディルさん、変わりましょう」 今は灯火もしなくなった灯台の最上、周囲を見渡すエディルに、階下から来たアドベルがそう声をかけた。 「…、…」 その言葉にエディルは少し、思案するしぐさをみせ、「本当に、警護など必要あるのですか?」と、疑問符を投げかける。 アドベルは、一瞬だけ言葉を詰めるが、周囲に顔を振った後、「万が一もありますよ」と、言った。 「万が一…ですか」 エディルは問いただす。「万が一など、あるんでしょうか?」 アドベルは無表情で、エディルを見返すにとどまり、そんな態度へ追従の問いただしを行った。 「正午辺り、あなたはアポロ様に申されましたね。襲ってこない。と」 「…、そうですね」 「それを勘と称しましたね」 「…、確かに」 「勘なんですか?今のも」 「…、今はそういう事にしていただけると助かります」 問答はここで終わり、エディルは「今は、分かりました、と言っておきます」とだけ告げ、アドベルの横を通り過ぎる時、「その[今]が終わるのは何時なのでしょうね…」と囁き、階下にと向かっていったのだった。 |