=第三章= |
「アドベルは、…私の物心が付く前からそばにいました」 アポロがそう一言を言い、口を軽く噤む。しかし、二人からの言葉の反応がないのが分かると、再度、その重くも感じる唇を開いた。 「母も居ない、父も早い時期に死に、…頼れるのは、アドベルだけだった。自分の兄であり、父のような存在であり、親友でもあった…。…僕は、アドベルがいたから、今も生きていられた…」 そこまで語り、口を閉ざす。そして、最後にこう呟いた。 「アドベルは。大切な人なんだ…」 そして、その続く言葉に、二人は驚愕した。 |