=第三章=
[Oldie's Lost Trial]
第21話・赤の71標

 

「少し、薄暗いですね。スティア様、明かりをお願いできるでしょうか?」
 警戒を緩めず、半身ばかりを扉へと向けたエディルが、そう願い出る。
 その言葉にスティアが軽く右の人差し指を手首元で振り上げると、扉の向こう側、エディルの頭一つほど高い位置に、恒発色する円球状の物が発生し、周囲を照らし出した。
「ありがとうございます」
 そこまで言い、エディルは改めるように扉から視線を外し、アポロを中心にした3人を見た。
「通路にして、少々狭いですね。人二人のスペースという所でしょう。侵入としては」
「私が先頭に立ちます」
 エディルの洞窟内の探索陣形に、アドベルがそう申し出た。
「理由は…」
 しかし、不信はあるので、エディルがそう問いただす。
「スティア様をさすがに先頭に据えるのは、どうかと思います。そして、アポロ。君は今、もっとも重要な役目を担っている。そうなると必然的に、二人は中にいていただいた方が無難でしょう。そうなると、私かエディルさんとなりますが、…」
 そこまで、言って、少しばかり悲しそうにも見える苦笑を見せつつ、言葉をつづけた。
「信用ならない人間を一番最後、しんがりに据えるのは、皆さんも嫌でしょう?」

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