=第三章=
[Oldie's Lost Trial]
第23話・赤の73標

 

 岩肌の続く中を進む事、数刻…。
 ふいに4人の前が大きく開ける。様相も異なり、…土壁が続いていたそれではなく、鉄壁がそびえる大きな部屋であった。
「ここは…」
 開けた広間に、アポロは周囲を見渡す。…光源は、スティアの光球ではあるが、
 この場所は、ほの明るい光源が部屋全体に広がっているようで、広間の様相は視認できるものではあった。
「これは」
 少々の薄暗さに目が慣れだしたアポロは、言葉を小さくこぼす。
 天井には、幾条もの長い鎖が垂れ、先端には大きな鉤のある鉄塊がぶら下がり、その根元が左右奥手前にと動けるように、溝のある鉄板で覆いつくされていた。
 そして、視線を倉庫の中央前に向けると、大きな鉄の彫像が列をなしていた。
「鳥?の彫像か」
 アポロの疑問符の感想に、エディルとスティアも同等の疑問が浮かんでいたようで、アポロと同じく、周囲を見渡してしまう様相を見せる。
「鳥にしては、奇妙な形ですね」
 エディルが一つの鳥?の彫像の足元?に近づき、まじまじと観察をする。
「翼は羽を模していませんし、…それに、足が車輪です」
 彼女の言う通り、鳥?の彫像の形状は、よくよく皆の知る鳥という概念に程遠いものだった。
 頭部にあたる部分は、円錐状に細まり、目も口もない。ただ、頭頂部は、ガラス張りであるようで、透明度があり、さらにはポッコリと出っ張った作りである。翼は、羽ではなく、三角状の鉄塊であり、尾羽も2本、おしりから付きあがる形で三角状の小さな鉄塊が突き出し、…足は奇怪に3本。1本は頭部の下辺りに生え、そのどれもが黒い車輪になっており、地面に接地していた。思い当たらなかったようだ。が、…

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