=第三章= |
エディルは苦虫をつぶすような口調でもって、アドベルの言葉を待つことなく、質問を終了させる。 「いいでしょう。このような問答、この場でしていても時間の浪費です。アドベル、その…鍵?…を使って、早く、扉を開けてください」 その言葉に、[黙秘]を決めていたアドベルの口が開く。 「この鍵は非常に特殊です」 そう言って、視線を3人から外し、自分たちが通ってきた通路の横にある、人ひとりが通れるかもわからない…暗い通路を指さした。 「この通路の奥に、この鍵でもって、開錠するための装置があります。ですから、今より私がそれを開錠に向かいます。そして、開いたら、私の帰りを待たず、先に行ってください」 その言い回しに、スティアが「私が変わってもよろしいのですよ」と、言うが、…アドベルは、振り向きもせず、…こう言った。 「アポロ、そして、スティアさん、…あなたはプレイヤーに選ばれています。だから、僕はAdovizarとして、あなた達を導かなければなりません。そして、エディルさん、あなたはその二人の見届け人として、存在するのです」 アドベルの言葉は、3人を硬直させた。…いや、本当の意味で、硬直していた。 そう、指一本さえ、動かせない…。そう、ただ呼吸のために開こうとする唇さえも、動かない。 「ただ、僕は、…それが許せなかっただけ…ですよ」 アドベルは、そこまでを言い切り、先ほど指さした通路にと、歩みだした。 その彼に、アポロが声を上げようとする。しかし、無論の事、出るはずもない。止めようとする動きさえもできない。 そして、アドベルの姿が通路の闇にと消えていった刹那、ドンっという音とともに、道をふさぐように壁が落ち、「兄さん!!」というアポロの声ばかりが、…部屋にこだましたのだった。 |