=第三章= |
「英雄といえば聞こえがいいけれど、人身御供かしらね」 オルトの威厳か、何かに気おされたように、3人はその後、言葉なくしたように、オルトを見つめていたが、「もう済んだであろう。行け」という彼の言葉に、部屋を後にした。その扉を出た直後のエディルの感想が漏れた。その言葉に、残る二人も言葉もないようである。 「アポロ殿…」ふと、スティアが口を開いた。 「お逃げにならないのですね」 その物言いに、アポロは首をスティアに向けた。 「城壁内での戦闘、あの後、アポロ殿は泣いておられましたね…。あれは、自分の存在を認識してたからでしょう」 彼女の言葉に、アポロは表情を硬直させたが、…もの悲しげに、うつむき。そして、こう続けた。 「逃げたくても、もう逃げれないんだろうね。…それは、きっと兄さんについていくと決めた時から…」 アポロの言葉に、二人は返すことはなく、…ただ、エディルが違う問いかけを二人に放つ。 「その原因ともいえる、アドベルは今どこに…いるのかしらね」 |