=第三章=
[Oldie's Lost Trial]
第37話・赤の83標

 

 三人がいなくなり、その鉄扉も閉じたオルトの部屋。
「これはどういう訳か、説明してくれるのだろうな」
 部屋の椅子に鎮座するオルトがかなり不機嫌な口調でもって、言葉を言い放った。
 もちろん、部屋にはオルト以外の人影は確認できない。
「先陣、火の精霊との戦いを阻害し、確認のためにと送った風の精霊を殺害するなど、物語の進行をことごとく捻じ曲げていくとは。…」
 いらだちすさまじく、語気荒いオルトの罵声が部屋にこだまする。
 そう、その言葉辺りからか、オルトの眼前、白く煙る中に人影が浮かんだ。
 シルエットは細身でとても長い髪をポニーテールにまとめた…人影である。
「どう説明する気だ。Adobizar!!」
 その人影に向け、眼光鋭く、オルトがどやしつけた。
  そして、その答えは

   椅子を後ろより貫き、オルトの心臓を抉り切った長大な紫色の剣

  だった。

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