=第四章=
[ADOBEL]
第2話・赤の87標

 

「伏せろ!」
 エラブの名乗り口上が終わった瞬間、つんざく命令が3人の出てきた洞窟から響き、刹那、3人が大地に吸い寄せられるように四つん這いとなる。
 その頭上を、正確にはアポロの頭上を紫の閃光が抜け、対面していたエラブの胎にと当たると、そのまま、彼女を連れ去り、…

  ズガンッ

 と、いう音が辺りに響き渡った。
 一瞬すぎる出来事に、3人は息をつめ、それから、正すように息を吐き、面を上げた。

 エラブがいた。ただし、先ほどまで立っていた場所ではない。
 その少し後方の、太く丈夫そうな大木の元、足は地についておらず、その胎には、

  アドベルがいつも背負っていた紫の大剣

 で貫かれ、縫い留められていた。

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