=第四章=
[ADOBEL]
第5話・赤の90標

 

「全てを話すのですね」
 アポロの言葉を待たず、エディルが口を開いた。
「その全てとは、何をもって、全て、なのですか」
「この戦いの無意味と私たち存在全て。です」
「無意味!?」スティアが叫ぶ。
「この戦いが無意味と、言い放つか!この戦いを、貴方は!」
 それに、アドベルは首を横に振った。
「私たちの戦いは、皆を守るための、王国を守るための戦いです。そうではなく、…この戦いが無意味なのです」
「兄さん…」
 エディル、スティアの憤りに感化されたように、アポロがゆっくりと口を開いた。
「逃げないよ…僕は、それが、僕のできる、兄さんの手助けなんでしょ」
 アポロの言葉に、ただ悲しそうな表情だけは変えず、アドベルは「ありがとう」と、答えて見せたのだった。

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