=第四章=
[ADOBEL]
第7話・赤の92標

 

 この世界、そう、この星は、「地球」と言われる星でした。
 そこには、様々な生き物が住み、生存していた。
 その中でも、「人間」という種族に注目して、話を続けます。
 そう、この「人間」が戦いの無意味さを教えてくれます。
 「人間」は、作る技術に長けていました。その作り出すものは、生活を豊かにし、繁栄を極めました。
 しかし、作り出すということは、そこに資材、資源が必要となります。
 豊かさを求めた結果、有限であるものが、徐々に枯渇していきました。
 それに対する歯止めをかけようとする「人間」もいましたが、豊かさの前に、敵うものでしょうか…。
 「人間」が地球上の彼らの欲する資材をいよいよ使いつくしだした時、「人間」は空を見ました。
 空に浮かぶ星々、その横には「人間」達のすむような星がある。
 たとえ、住めなくとも資源はあり、それを使えば再び、豊かな生活を送れる。
 そう考えた「人間」は「地球」を捨てた。ここから、旅だった。
 …、「地球」に残っていたのは、海と大地と「人間」が捨てた動植物のみ。
 そして、「地球」を捨てた「人間」は、星々を渡り、資源をむさぼり、豊かさをさらに極め、極め、…異例が生まれだした。
 食べ物か、生活環境か、…特異的な力を持った「人間」
 彼らは、資源を使った道具を使わずとも、同等な力を行使する存在だった。
 それを「人間」は超能力と呼び、その「人間」を「超能力者」と呼んだ。
 「超能力者」は「人間」にとって、異例であり、脅威であった。道具を使わずに、道具の力を持つなど、恐怖の対象でしかなかった。
 だから、「人間」は「超能力者」を迫害した。
 捕らえ、一か所に集め…。しかし、脅威が集まれば、それは自分たちの危機と考えた「人間」は、殺害を考えるも、世間を気にし、どこかに捨てることを考える。
 そう、そこで目を付けたのが、「地球」。
 今や、資源を食いつぶしながら、進んでいった結果、「地球」ははるか遠くなり、自力では到底にたどり着けず、そして、捨てられた動植物が群生し、たぶん、生きていけるだけの衣食住は確保できるだろう。考えついた「人間」は、一つの船に詰めるだけ積んで、飛ばし、「地球」の数か所に「超能力者」を捨てた。
 一か所に集めれば、そこに空を行く船が生まれるかもしれない。それに近い超能力を家系的に生み出してしまう危険を排除するため、数か所に捨てた。
 それを十数年に1度、それを数世紀にわたり…。行われ、…。
 そして、その中で、なんとか生き残ってきた「超能力者」が、

「僕たちの先祖であり、今も新しくここに送られています」
 ここで、アドベルが言葉を区切る。
 3人は、押し黙る。いきなり、自分たちの先祖の話をしだしたのだ。
 それが、どこにかかわりがあるのか、…ただただ、疑問符を浮かべていた。
 もちろん、アドベルもわかっているのだろう。
「先祖の話など、意味があるのか…そう思われるでしょう。大きく言えば、たいして重要ではありませんが、けれど、知らなければ…。次に話す内容を理解していただけない。そう、この戦いの無意味さを…」

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